法人理念

設立趣旨

 私たちは、1997年から子ども・在住外国人・障害者・高齢者等、多様な人々の社会参加(social inclusion)を目指して市民活動に取り組んできました。
 とりわけ行政との協働事業として取り組んできたジョブコーチ事業、ITを活用した障害者の社会参加支援を通して、多様な人々の居場所や働く場所を創出することの重要性と必要性を痛感してきました。

 人は誰も、さまざまな人と関わりながら暮らし、働き、遊ぶといった当たり前の権利を持っています。しかし、障害があるために、この当たり前のことが当たり前ではなくなっている現実があります。特に障害者の就労に関して言えば、
 ①企業就労に必要な基礎訓練が十分になされていない
 ②雇用する企業、職場全体に障害特性などの基本知識が浸透していない
 ③家族へのケアが不足している
 ④支援する側の総合能力が足りない
 などの課題があげられます。そして、就労問題に取り組めば取り組むほど、就労以外の部分-『余暇・暮らし』-をどのように支援していくのかという、もう一つの課題が浮き彫りになってきます。

 それらの課題解決のために、就労支援・仕事創出と余暇支援を二本の柱とした新しいNPO、-暮らしと仕事のネットワーク-「くらしえん・しごとえん」を設立することにしました。

 「くらしえん・しごとえん」では、「おぎないあい・支え合う」関係を何よりも大切にし、障害の有無、年齢差、性差、人種・民族・国籍・宗教を超えたこの地域に暮らす多様な人々が共に生き、共に働く社会を目指します。

2006年11月1日


代表挨拶

代表理事

 2019年3月、第1回CEF(Conference of Employment Fast)~質の高い障害者雇用を考える会議~を開催しました。このCEFはジョブコーチ連絡協議会、全国就業生活支援ネットワーク、全国就労移行支援事業所連絡協議会、障害者雇用企業支援協会の協力を得て、実行委員会形式で開催したものです。

「我が国の障害者雇用は、 法定雇用率制度を基礎に進められており、 民間企業における平均実雇用率は上昇を続けています。 しかし、 障害者雇用の意味は、 法定雇用率という数値目標の達成だけにあるのではなく、その本質は、可能な限り統合された環境の下で、障害のある人が持てる力を発揮し、相応の報酬と社会的評価を得て、 やりがいをもって働き、 生活の質の向上を図ることを社会全体で実現することにあります。 障害福祉サー ビスの下ではなく、 可能な限り通常の職場において、 障害のある人の質の高い雇用を実現することは、 障害のある人だけでなく、 共生社会の実現に向けて社会全体の利益にもつながります。 障害者雇用は、企業の立場でのコンプライアンスの実現という視点だけでなく、 社会全体の在り方の問題という側面を持っています。
 CEF (Conference of Employment First)は、 本来一貫性があるべき就労支援・障害者雇用のプロセスを、共通の目標、大きな共通の傘の下で考えるために、当事者、企業、教育、医療などが結集し、それらの個人、あるいは組織が、障害者雇用や就労支援のあるべき将来に向けて、その本質を確認し、具体的な方法や技術についで情報を交換し、 さらには制度や施策について考えるための貴重な場となります。」(「CEF2019案内」より)

「質の高さ」を確認するためには、自分たちがどこに立っているのか、という自分たちの足場をしっかりと確かめ、固めることです。それなくして「高さ」ははかることはできません。

 私たちは、法人設立以来、国の制度である「職場適応援助者」として雇用現場に関わってきました。
 私たちの仕事は雇用職場において「働く・働き続ける」ための「適応」をサポートすることが役割です。
 つまり、「不適応」が生じているとき、うまくいかない時にこそ、求められますものなのです。
 そのような時には、「うまくいかない原因や課題」を掘り返します。それは、決して気持ちのいいことではありません。できないことをつきつけたり、できることなら目を背けたいと思っていることを指摘するのですから。

 そして、私たちは「用無し」になることを目指します。
 障害者雇用において「職場適応援助者」、私たちの存在が不必要になることが目的です。
 障害者が働くのではなく、人が働く。
 そのために必要な支えの仕組みが、それぞれの事業所、社会の中で作り上げられていくこと。
 そうした、会社や地域や社会を丁寧に丁寧に作り上げていくことこそ、今、一番求められているのだと強く思います。決して「数」ではありません。

 そのためには、自らに対する厳しさと、多くの人たちと手をつなぐ力が求められているのだと。
 現場支援の中では、「これで本当に良いのだろうか?」と悩むことばかりです。
 それでも、今日よりも明日、今年よりも来年、とホンのわずかでも良いから前に進み続けたいと思います。

2019年9月      
くらしえん・しごとえん
代表理事 鈴木修